大学2年の春、『海と毒薬』と『沈黙』を続けざまに読んだ私は、感動に震えながらも呆気にとられていた。重厚かつ端正な文章。深く胸をえぐる描写。この堂々たる純文学作品を世に問うた遠藤周作という文豪が、あのふざけた〝狐(こ)狸 […]
自分には絶対に描けない絵だった。 イラストレーター安西(あんざい)水(みず)丸(まる)の、どこにも力が入っていないようでいて、不思議な緊張感をたたえた絵が、高校生の頃から好きだった。 無礼を承知で「水丸さん」とお呼び […]
私の偏った漫画遍歴はあだち充から始まった。 ある日、年の離れた親戚のお姉さんが我が家に持ち込んだ漫画本の山。あだち作品を網羅していたそれが、いたいけな私を『陽あたり良好!』や『みゆき』や『ナイン』を愛読するややシブ少女に […]